小型風力のFIT価格は撤廃へ

FIT価格が55円/kWhと高額な小型風力。政府はこのFIT価格を撤廃し、20kW以上の風力と同じ区分にする方針を示しました。

FIT価格を決める根拠となるのが、コストと設備利用率です。コストは運転開始前に必要な資本費、人件費や保守など運転開始後にかかる運転維持費に分けられます。
小型風力発電事業の統計では、運転維持費が想定よりかさんでいますが、コスト面は総合的に想定内といえます。一方で20kW以上の風力などと比較すると、コストの低減は進んでいない傾向にあります。

今回、価格区分を撤廃する方針となった大きな理由が、設備利用率の問題です。FIT制度下で稼働している小型風力発電の設備利用率を調査したところ、大半の事業では設備利用率は10%に満たないといいます。

「仮に2030年までに小型風力の発電コストを30円/kWh以下まで低減できても、現在の電力市場価格を考慮すると、FIT制度からの自立化は困難と考えられるのではないか」という意見や、55円/kWhという高い価格設定が、コストの高止まりにつながっているという指摘もありました。

これらの背景から、事業用の小型風力について「55円/kWhといった高価格での新規認定を続けることは適当とはいえないのではないか」とし、今後は20kW以上の風力発電と同区分として取り扱う方針が示されました。正式な決定はこれからですが、現状の55円/kWhというFIT価格が維持される見込みは限りなく小さくなりました。

(出所:調達価格算定委員会より公表 H30.1.23)


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